
株主の皆様には平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。当社グループ第23期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)を終了しましたので、その事業活動の概況をご報告させていただきます。
当期成績および今後の見通しについて
当社グループ全体の受注高は45,026百万円となり、前年度の35,793百万円から約10,000百万円増の25.8%増加となりました。新設橋りょう工事の新名神高速道路「梶原橋」や中国自動車道「宮脇橋他3橋床版取替」の大規模修繕工事などを受注いたしました。
また、売上高は40,770百万円と前年度の40,259百万円から1.3%増加し、過去最高となりました。一方で、利益面では人件費や諸経費の増加により、営業利益が1,953百万円(前年同期比5.3%減)、経常利益は1,880百万円(前年同期比7.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,268百万円(同6.3%減)という結果となりました。
今後の見通しといたしましては、当社グループが主力とするプレストレスト・コンクリート(PC)構造物に関しては、橋りょうの新設工事は減少傾向が続いているものの、補修・補強に関する工事については、引き続き一定規模の発注が見込まれます。建設投資全体は堅調に推移し、民間投資を中心として増加傾向が続くものと認識しております。
このような経営環境のもと、当社グループは中期経営計画に基づき、橋りょうの新設・補修といった既存事業のシェア向上に取り組んだ結果、2024年度各社別受注実績では、当社グループがPC業界3位のシェアを確保することができました。今後も、マイクロパイル工法をはじめとする独自技術の応用拡大や、非橋りょう分野としてプレキャスト建築部材、防災分野および洋上風力発電等の再生可能エネルギー分野等、新たな事業機会に挑戦してまいります。
中期経営計画
今般策定した中期経営計画は、当社グループの長期ビジョン【Br.VISION2030】が示す「インフラ整備を通じて社会に貢献し、持続的に成長する企業グループ」の実現に向けた取り組みを示しています。2031年3月期の売上600億円を目標として、第1次中期経営計画(2024~2027年度)では持続的成長実現のための経営基盤を整備し、第2次中期経営計画(2028~2030年度)では長期ビジョン実現に向けた新たな事業領域の拡大に挑戦します。当社グループのDNAである「日本の社会インフラを支える」ことで社会に貢献するためには、「人」が最も重要な要素であると捉えております。その中で、だれ一人残さずすべての人材が活躍できる企業へ変革することが、長期ビジョンの実現につながると考えています。
制度改革
一人ひとりの社員の活躍こそが、企業の持続的な成長と発展の原動力であると考え、2025年度より中核企業の極東興和および東日本コンクリートにおいて、以下の3つの視点を中心に、社員に挑戦を促し、公平かつ納得感のある環境を整備する改革を行います。
1.挑戦の促進
挑戦をする社員が、当社が目指す企業への変革の原動力と考え、意欲ある人材が自らの成長と企業価値向上に貢献できる制度改革。
2.多様性の受容(働き方・勤務地の柔軟性)
働き方改革の一環として、ライフステージや価値観の多様化に対応可能な制度を整えることで、優秀な人材の獲得と定着を図る。
3.業務実態・成果に見合った処遇のバランス
透明性と納得性を高める処遇体系とし、公平感を向上させ、社員エンゲージメントの向上につなげる。
これらの制度改革を通じ、人材の獲得・定着・育成を強化し、持続的成長を支える組織の構築を推進してまいります。
持続可能な未来への取り組み
当社グループは、社会インフラの整備・維持を担う建設業の一員として、持続可能な未来の実現を目指します。気候変動という人類共通の課題に対しては、2050年のカーボンニュートラルを長期目標として掲げ、2030年度までに2021年度比で温室効果ガス排出量を31%削減(Scope1・2)するという中間目標の達成に向けて、脱炭素ロードマップを策定・公表しております。各事業領域での削減施策の優先順位を明確にし、定期的な進捗評価と見直しを行い、着実な実行を目指しています。
また、安全・品質・環境に配慮した施工の徹底に加え、協力会社をはじめとするサプライチェーンとの連携を深め、社会全体の脱炭素化にも寄与してまいります。すべてのステークホルダーとともに信頼と価値を共有しながら、次世代へ人と技術をつなぐ企業グループであり続けます。
2025年6月
代表取締役社長
