株主の皆様には平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。当社グループ第22期(2023年4月1日から2024年3月31日まで)を終了しましたので、その事業活動の概況をご報告させていただきます。
当期成績および今後の見通しについて
当連結会計年度におけるグループ全体の受注高は、北海道新幹線の軌道スラブ製作運搬および新設橋りょう工事等の大型受注がありましたが、期中に予定していた大型案件の契約が翌期へずれ込む等、 35,793百万円と前年同期(40,297百万円)を11.2%下回りました。一方売上高は、前年から繰り越した大型工事の進捗率が伸び、40,259百万円と前年同期(36,022百万円)から11.8%増加し過去最高となりました。営業利益は大型工事の設計変更獲得による利益計上があり、2,062百万円と前年同期(1,636百万円)から26.0%増加、経常利益は2,036百万円と前年同期(1,624百万円)から25.3%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益も1,353百万円と前年同期(1,025百万円)から31.9%増加した結果となりました。
今後の事業環境見通しにつきましては、新設橋りょう事業においては、社会インフラの整備が概ね進み、計画路線の逐次完成に伴う新設PC橋りょうの発注は減少が予測される一方、高速道路のミッシングリンク解消や4車線化計画等も進捗する事から一定の発注量を想定しています。また補修・補強事業においては、既存の社会インフラの老朽化による補修や、国土強靭化政策に伴い各高速道路会社が進める「高速道路リニューアルプロジェクト」による補修・補強工事の需要が増しています。
このような事業環境の中、当社グループの翌期期首手持工事高は43,615百万円となりました。高速道路のPC床版取替工事や4車線化工事等の長期大型工事の比率が増加するなかで、次期連結業績につきましては、売上高は過去最高の42,000百万円、営業利益は2,400百万円、経常利益は2,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,550百万円を見込んでおります。
当社グループといたしましては、引き続き高速道路の大規模更新・修繕工事、北海道新幹線をはじめとした鉄道関連の大型プロジェクトなどに積極的に参入し、生産性の向上、働き方改革の推進を図り、国土強靭化政策に対応する組織体制の構築と競争力の確保を目指してまいります。
自己株式の取得
当社は株主還元および資本政策の一環として、市場環境と資本の状況を見ながら、機動的に自己株式取得を実施する方針としております。この方針を踏まえ、 2023年11月から2024年3月にかけて、自己株式の取得(1,000,000株)を行い、株主還元および資本効率の向上を図りました。
統合報告書の発行
2022年4月に東証一部からプライム市場に移行した当社は、資本市場における責任を積極的に果たし、企業価値を高めるため、同年からマテリアリティの特定に着手し、理念体系の策定、統合報告書の発行に至りました。
本報告書を株主・投資家をはじめ、お客さま、取引先、従業員など様々なステークホルダーの皆様に、当社グループの価値創造の現在、将来の姿を正しくご理解、ご評価いただくためのコミュニケーションツールとして活用していきます。これからの社会がどのように変化していくかを見据え、その社会における貢献とは何かを考え、持続的な社会の実現に向け、事業を通じた継続的な社会への価値提供と当社グループの企業価値の向上を目指してまいります。
気候変動への取り組み
地球環境を巡る課題の中でも気候変動と資源循環は、建設業界にとって最も重要な取り組むべき課題と認識しています。当社グループでは2030年を目標とするSDGsを前提とし、2050年のカーボンニュートラル実現に向けてCO₂排出量の多いセメントの代替材料の利用促進や環境にも配慮した独自技術の採用により環境配慮型社会実現へ取り組んでいます。
当社グループは、TCFD(「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」)に賛同し、推奨される「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「指標と目標」の項目に沿って情報を開示しております。2021年よりGHG排出量を算出しておりますが、現在、算定の再評価、分析、2050年カーボンニュートラルに向けた検討をさらに進め、2024年度には具体的な目標を設定する予定としております。
つなげる 人を、技術を、未来へ
私たちは創業以来、人財を育み、技術を培い、交通インフラの建設によって社会に貢献してきました。当社グループとしてどのように成長し、企業価値を高めていくべきかを考え、2030年のビジョンを策定しました。
Br.HD VISION2030「インフラ整備を通じて社会に貢献し、持続的に成長する企業グループ」
これは、当社グループがどのような社会インフラをつくり、将来世代につないでいくことで課題解決に貢献するか、その姿を示したものです。具体的な施策については、中期経営計画において現在検討しているところです。
これからも「人」と「技術」を事業の中核として、より豊かで快適な暮らしの実現に挑戦し続けます。
今後も、株主の皆様のご期待にお応えできるよう、環境対策や技術開発を積極的に推進してまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
2024年6月
代表取締役社長