教育機関との関係強化

当社グループは、大手ゼネコンのように自前の研究所を維持するのは不可能であるため、各大学との共同研究を進めています。 国土交通省は各出先ごとに「テーマ設定技術募集方式(フィールド提供)」をおこなったり、年度別に「建設技術研究開発助成制度」を設けていますが、 そのテーマに沿って、共同研究を実施してきました。 その共同研究の結果、社員の博士号の取得や、新卒の採用へ繋げていくよう努力しています。 また、その分野は今後、予算が増加せざるを得ない補修・補強分野に集中しています。 

 

工学博士の研究概要

論文題目 取得学校 主査教授氏名
1 高強度コンクリートの自己収縮の影響を取り入れた
RCはりの斜めひび割れ発生強度算定式の提案
広島大学大学院 佐藤良一 教授
2 マイクロパイルとプレキャストコンクリートの
結合構造システムの開発
山口大学大学院 三浦房紀 教授
吉武勇 准教授
3 K-LIP工法:リチウムイオン内部圧入による
ASR抑制メカニズムとリチウムの浸透に関する研究
京都大学大学院 宮川豊章 教授
4 K-PREX工法:既設コンクリート構造物に
プレストレスを導入して補強対策を行なう技術の実用化
山口大学大学院 吉武勇 准教授 (※1)
5 鋼-コンクリート複合化による
合理的構造物の開発に関する研究
広島大学大学院 藤井堅 教授 (※1)
6 K-PREX工法:既設コンクリート構造物にプレストレス
を導入して補強対策を行なう技術の研究
山口大学大学院 吉武勇 准教授 (※1)
7 合理化継ぎ手の実用化に向けた研究 熊本大学大学院 尾上幸造 准教授 (※1)
8 改質材内部圧入工法の確立と発展に関する研究 山口大学大学院 李柱国 教授 (※1)
(※2)

(※1)イノベーション人材育成事業  (※2)博士課程留学中

LIP 教育機関との共同研究

橋脚などで利用される鉄筋の腐蝕とアルカリ骨材反応をどちらも制御出来るLIP(亜硝酸リチウム圧入)工法です。 現在まで、6研究機関と7件のテーマで共同研究を実施してきました。 また、毎年4~50回程度のフォーラムを、行政の技術者、関係コンサルの技術者を中心に実施してきましたが、 技術の普及期を過ぎ、今後2~3年で成長期になると期待をしています。 

 

PREX 教育機関との共同研究

現在開発中のPREX工法は、マイクロパイルやLIP亜硝酸リチウム圧入工法などと組み合わせることで、 補修・補強を低予算で実現できる可能性があり、普及速度は速いと考えています。 山口大学で共同研究を推進してます。 

 

LIP + PREX 工法

市町村道でよく見られる例ですが、左側の旧来の表面対策では構造物背面の補強が全くできず、 エポキシ樹脂等を利用する表面対策では、腐食も一時的にしか防止できません。 それに対し右側の例ですが、LIP工法とPREX工法を組み合わせることにより、理想的な補強となります。

 

一般的な補修・補強技術で完全にやろうとすると、迂回路を設置し、橋台背面の土砂を撤去せざるを得ません。 当社独自技術の組み合わせでは、迂回路の必要もなく、約1/3の予算で補修・補強が完了します。 

 

鉄道橋における亜硝酸リチウム高圧注入工法の試験施工

鉄道系の会社と共同で、従来のエポキシ樹脂による補修とLIP工法を比較実験をしているところです。 従来のエポキシ樹脂などによる補修は施工後も劣化が進行します。 亜硝酸リチウム工法の優位性はすでに実証されていますが、この実験で優位性が再確認され、 標準工法に採用されますと、事業量が大きく伸長する見込みです。

 

下のグラフは通常の約10倍の速さで劣化を促進した実験の結果です 

 

マイクロパイル 教育機関との共同研究

橋脚の補修に続いて、橋脚基礎を強化するマイクロパイルに関する5つの研究機関との共同研究です。 ほぼ10年間の技術開発と事業化のための普及活動をへて、その売上げが成長期に達しています。 

 

MP マイクロパイル工法

上空に制限がある、橋りょうの基礎部分の補強は、一般的な小型杭打機でも約15mの高さが必要とされます。 MP工法は4.5m程度ですから、1/3以下の高さでパイルの打設が可能となります。 MPは鋼管杭やコンクリート杭より高価ですが、低空頭の杭よりは低価格であり、今後、橋脚部分の補強に加えて、 基礎部分の補強が必要とされれば、首都高速道路に止まらず、その市場はかなりの規模まで広がります。 

 

PREX + MP 工法

一般に、従来工法は鉄筋コンクリートを橋脚に巻き立て、補強を行いますが、橋脚の補強で自重が増加し、耐震性が落ちてしまいます。 現在の首都高速道路もこの状態です。

 

右図のとおりPREX工法とMP(マイクロパイル)を組み合わせると、橋桁の下で作業が可能な為、左図の橋桁の外側で行う、 一般的基礎補強の約1/3の予算で完了することが出来ます。 今後の補修・補強で必要とされる技術の組み合わせと言えます。