安心して暮らせるインフラ整備に向けた取り組み

当社グループは、創業以来プレストレスト・コンクリート(PC)技術を用いた橋りょう新設工事を柱として事業展開を行ってまいりました。 平成11年のピーク時の4割以下まで落ち込んだPC橋りょう関係発注額が、アベノミクス効果や東北大震災の復興需要などにより近年回復してきたことに加え、 業界内シェア率が約6.84%と10年前の約2倍の水準に高まり、当社グループの業績も大幅に改善しています。 しかしながら、中長期的には橋りょうを含む新規インフラ整備は漸減する見通しです。

 

こうした流れを受け、当社グループでは橋りょう新設工事以外の分野へ、徐々に経営資源をシフトし、 事業領域の拡大に努めて参りましたので、その取り組みをご紹介します。

 

第一点は、構造物の補修・補強分野です。 高度経済成長期以来、建設された構造物の多くが更新時期を迎えており、国内に70万橋あるとされる橋りょうのうち、 現時点で8%、20年後には53%が建設から50年以上経過し、更新や補修・補強が必要となります。 この巨大な市場に対応するために、当社グループでは、在来工法による施工に加えて、省スペースで杭基礎の施工を可能としたマイクロパイル工法や、 アルカリ骨材反応や塩害による劣化対策として極めて有効なASRリチウム工法などの独自技術の採用が、近年飛躍的に伸長しています。

第二の取り組みは、鉄道関連事業です。 JR各社や民間鉄道事業者向けのマクラギや、新設新幹線の軌道スラブ、今後建設が開始されるリニア中央新幹線のパネルやフードなど、 豊富な実績と確かな技術を背景に受注量の増加を目指しています。

 

上記の取組みの結果、橋りょう新設以外の工事が受注総額に占める割合は、直近3ヶ年平均で30.6%と、5年前の約3倍の水準で推移しています。 今後更にこの取り組みを加速し、交通インフラをご利用の皆様に、安全で快適な生活を提供することにより、 地域社会に貢献したいと考えています。 

 

 

 

 

補修事業・独自技術への取り組み

現在、わが国には約15.7万の橋梁が道路・鉄道等に利用されていますが、このうち建設後50年以上が経過した橋梁は全体の約9%です。 橋梁の高齢化現象は今後も進展し、橋齢50年を超える橋梁は10年後には約28%に、20年後には約53%に達します。 また、これらの中には、現在の耐震基準を満たしていない橋梁も多く、昨年の東日本大震災では、未補強の構造物が激しい損傷や倒壊などの被害を受けました。 橋梁を維持管理する国土交通省や地方自治体、高速道路(株)などは、老朽化が進む橋梁の補修・補強・更新を進めており、 構造物の補修予算は近年大幅に増加しつつあります。

 

このような社会環境の中、当社グループでは傘下の建設会社である極東興和(株)、東日本コンクリート(株)を中心に橋梁補修事業へ経営資源を投入し、 わが国の社会資本ストックの維持や長寿命化に貢献しています。その結果、補修工事の実績や施工法のバリエーションは年々増加し、 平成24年3月期における補修分野の売上高は前期比2倍となりました。 中でも、狭隘地で杭を造成し構造物の基礎補強が可能な「マイクロパイル工法」や、コンクリートの塩害やアルカリ骨材反応を根本的に補修する「亜硝酸リチウム高圧注入工法」といった補修・補強分野における独自技術は、 受注量が飛躍的に増加しつつあります。

 

当社グループは、今後も橋梁構造物の維持・更新事業を将来の中核事業ととらえ、この分野において要求される技術の蓄積や新技術の開発を推進しながら、社会資本整備に貢献していきます。 

MP マイクロパイル工法 

LIP 亜硝酸リチウム高圧注入工法